日本には、1922年に制定された「20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律」がある。しかしながら、諸外国と同様に、20歳未満の者の飲酒は日本でも大きな社会問題となっており、1996年以降定期的に20歳未満の者の飲酒をモニターするための全国調査[1]を行っている。
20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律とは、満20歳未満の者の飲酒の禁止などを規定した日本の法律です。もともと「未成年者飲酒禁止法」として、1922年(大正11年)3月30日に制定されました。その後、1947年(昭和22年)に改正され、さらに20歳未満の者の飲酒防止に役立てるために、1999年(平成11年)、2000年(平成12年)、2001年(平成13年)、2018年(平成30年)、2022年(令和4年)と連続的に改正され現在に至っています。具体的には下記の4条からなります。
第1条 20歳未満の者は酒類を飲用することを得す
2 未成年者に対して親権を行ふ者若は親権者に代りて之を監督する者未成年者の飲酒を知りたるときは之を制止すへし
3 営業者にして其の業態上酒類を販売又は供与する者は20歳未満の者の飲用に供することを知りて酒類を販売又は供与することを得す
4 営業者にして其の業態上酒類を販売又は供与する者は20歳未満の者の飲酒の防止に資する為年齢の確認其の他の必要なる措置を講ずるものとす
第2条 20歳未満の者か其の飲用に供する目的を以て所有又は所持する酒類及其の器具は行政の処分を以て之を没収し又は廃棄其の他の必要なる処置を為さしむることを得
第3条 第1条第3項の規定に違反したる者は50万円以下の罰金に処す
2 第1条第2項の規定に違反したる者は科料に処す
第4条 法人の代表者又は法人若は人の代理人、使用人其の他の従業者が其の法人又は人の業務に関し前条第1項の違反行為を為したるときは行為者を罰するの外其の法人又は人に対し同項の刑を科す
*成人年齢は2022年より18歳に引き下げられましたが、お酒やたばこ、公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)に関する年齢制限は、健康被害への懸念や、ギャンブル依存症対策などの観点から、20歳のまま維持されています。
1996年以降定期的に中学生・高校生に対して行われている調査で明らかなのは、学年が進むに従い飲酒者割合が増加していること、それらの割合は男女間でほとんど差がないことです。ただ、調査の結果を時系列でみると、飲酒している者の割合が明らかに減少しており、これは大いに歓迎すべき現象です。
さて、20歳未満の者の飲酒はなぜよくないのでしょうか。その根拠を証明するような数多くの知見が報告されています。
一例を挙げると、動物実験では若年者に相当する個体は成人に相当する個体に比べてアルコールの分解が遅いことがわかっています。これは、成人と同じ量を飲んでも、若年者のほうが血中濃度がより高くなり、急性アルコール中毒や臓器に対する悪影響を引き起こしやすいことを示唆しています。また、大量に飲んだ場合、成人(人の場合は20歳以上)に比べてより臓器障害を引き起こしやすく、また、アルコール依存症によりなりやすいことが、動物でも人でも確認されています。さらに、酒の飲み始めが早ければ早いほど、将来、事故に巻き込まれたり、アルコール依存症になったりするリスクが高くなることも多くの研究で確認されています。
他にも、脳の発達や骨の成長、内分泌系などに対する飲酒の影響は、20歳以上の者と比べて20歳未満の者でより大きいことがわかっています。アルコールの健康や発達への悪影響から考えても、20歳未満の者は飲酒の害から守られなければならないのです。
(最終更新日:2024年12月17日)