心療内科(しんりょうないか)

心理社会的因子が発症や経過に密接に関連する身体疾患(心身症)に、心身両面から総合的にアプローチする心身医学を実践する内科。

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心療内科とは、ストレスなどの心理社会的な因子が、発症や経過に密接に影響する身体の疾患(心身症)を対象とする内科です。薬物による治療に加えて、心理面での治療やケアを行うことを目的とした心身医学を学問的背景にもちます。

生活習慣病・ストレス関連疾患などには心理社会的な要素が大きく、薬物療法だけでは効果が十分でないケースが存在します。そこで心理社会面へのアプローチを加えた、全人的医療を実践する診療科として、発展してきました。

診療する疾患は、過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア・糖尿病肥満症・緊張型頭痛・片頭痛・高血圧などの心身症が主たるものとなりますが、心身両面からのアプローチが必要である、摂食症(神経性やせ症、神経性過食症、むちゃ食い症など)も診療対象としています。さらに、同じく心身の双方向の関連が認められる、がん患者の緩和ケア(サイコオンコロジー)なども診療対象としています。

(最終更新日:2025年7月1日)

吉内 一浩

吉内 一浩 よしうち かずひろ

東京大学医学部附属病院心療内科 病院教授

1991年東京大学医学部医学科卒業。医師、博士(医学)。日本内科学会総合内科専門医、日本心身医学会・日本心療内科学会合同心療内科専門医、日本心身医学会指導医、日本心療内科学会登録指導医、日本頭痛学会専門医。日本心身医学会、日本心療内科学会、日本摂食障害学会、日本サイコオンコロジー学会の理事、摂食障害全国対策連絡協議会委員などを務める。東京大学医学部附属病院心療内科特任講師(病院)、2009年より東京大学大学院医学系研究科ストレス防御・心身医学准教授、2013年より東京大医学部附属病院心療内科科長(兼務)を経て、2023年より現職。これまでに心身症の診療ガイドライン、摂食障害の診療ガイドラインなどに関与し、がん患者の心のケアのガイドラインの開発に関する厚生労働省研究班の主任研究者も務める。

参考文献

  1. 日本心身医学会教育研修委員会.心身医学の新しい診療指針.心身医学 31:537-573,1991.
  2. 吉内一浩.心身症と心身医学.三村將監.精神疾患診療.日本医師会(発行):診断と治療社(発売),2022:293-294.
  3. 小牧元,久保千春,福士審編集.心身症診断・治療ガイドライン2006.協和企画,2006.
  4. 吉内一浩.心身医学.矢﨑義雄・小室一成編. 内科学第12版.朝倉書店,2022:118-126.