高血圧は心疾患や脳血管疾患の重要な危険因子の1つであることが知られています。普段の栄養・食生活を振り返り、少しずつ改善することで、高血圧の予防や治療につながります。ここで示す5項目など、できることから取り組んでみましょう。
食塩の摂り過ぎは、高血圧に影響を及ぼすことが知られています。生活習慣病の発症予防を目的としたナトリウム(食塩相当量)の目標量は、18歳以上の男性で7.5g/日未満、女性で6.5g/日未満[1]と設定されていますが、最近の国民健康・栄養調査の結果ではいずれも約3g程度(濃口しょう油に換算すると大さじ1杯強に相当)、目標量を上回っている状況です(図1)。

減塩のポイントとして、例えば、めん類の汁やスープを飲まずに残すと2~3g減塩することができます。そのほか、味を確かめながら調味料を少しずつ使用する、酢や香辛料を活用するなど[3]、ちょっとした工夫で減塩に取り組むことができます。
野菜や果物にはカリウムというミネラルが多く含まれています。カリウムにはナトリウムの排出を促す作用などがあり、血圧を低下させることが報告されています。生活習慣病の発症予防を目的としたカリウム摂取の目標量は、18歳以上において男性3,000mg/日以上、女性2,600mg/日以上に設定されています。しかし、最近の国民健康・栄養調査の結果では、男女ともに約400mg~600mg(ほうれん草のお浸しに換算すると小鉢約1.5杯分に相当)不足している状況です(図2)。日々の食事で、野菜や果物を積極的に食べるよう心がけましょう。

下の図で示す副菜1つ分(約70g)を例とした場合、1日5つ分(350g)以上の野菜を食べるように心がけましょう。またカリウムは野菜や果物のほか牛乳・乳製品、お茶(抽出液)など様々な食品にも含まれています[3]。できることから少しずつ取り組んでみましょう。なお、医師から腎臓病と言われている方は必ず医師の指示にしたがってください(図3)。

食塩の摂り過ぎは高血圧のリスクを高める一方、カリウムには血圧を低下させる働きがあります。ナトリウムとカリウムの摂取比(ナトリウム/カリウム)を下げることが重要であると報告されています。減塩を目指すと同時に、カリウムの摂取量を増やすように心がけることも大切です。
「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、高血圧の改善のために開発された食事法として「DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」が紹介されています[4]。この食事法は、先に述べたカリウムに加え、カルシウムやマグネシウム、食物繊維、不飽和脂肪酸を積極的に摂ることにより、飽和脂肪酸や食事性コレステロールを抑えることが特徴として挙げられます。このような食事を摂ることで、血圧の低下や脳心血管病のリスク低減につながることが報告されています[4]。野菜や果物のほか、低脂肪の乳製品や魚、(主食に)全粒穀物を積極的に取り入れ、反対に赤身肉やお菓子、砂糖を含んだ飲料を控えることで、DASH食に近づけることができます。
肥満は、高血圧のリスク因子の1つです。毎食腹八分目を心がける、間食を減らす、エレベーターを使わないで階段を利用する、体重計で体重を確認するなど[5]、小さなことから少しずつ取り組んでみましょう。
高血圧では、たとえ少量の飲酒であっても、飲酒自体が発症リスクを上げてしまうことが報告されています[6]。
※医療機関を受診している方は、必ず担当の医師の指示にしたがってください。
(最終更新日:2026年5月15日)