健康診査の最も重要な目的は、病気の早期発見・早期治療ですが、それだけでなく、健康づくりに役立てる目的もあります。健康診査は大きく「健診」と「検診」に分けられます。
「健康診査」は大きく「検診」と「健診」に分けられます。「検診」は、特定の疾患自体を発見して必要な治療に繋げることが主な目的であり、がん検診や結核検診などが当てはまります。それに対して、「健診」は、高血圧や糖尿病など特定の疾患を発見し治療や保健指導に繋げるだけではなく、健康づくりの観点から経時的に値を把握し、行動変容につなげることも目的に含まれます。特定健診がこれにあてはまります。
日本の公的な健康診査プログラムには、特定健診やがん検診のほか、乳幼児健診や職場での健診(労働安全衛生法に基づく一般健康診断)など主に13の制度があり、それぞれのライフステージに応じて実施されています[1]。

健診と検診に関する国の考え方を示した文書として、「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」(平成十六年厚生労働省告示第242号)[2]があります。それには次のように書かれています。
健康診査は、疾病を早期に発見し、早期治療につなげること、健康診査の結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導(運動指導等生活習慣の改善のための指導を含む。以下同じ。)等を行うことにより、疾病の発症及び重症化の予防並びに生涯にわたる健康の増進に向けた自主的な努力を促進する観点から実施するものである。
なお、健康診査は、大きく「健診」と「検診」に分けられる。健診は、必ずしも特定の疾患自体を確認するものではないが、健康づくりの観点から経時的に値を把握することが望ましい検査群であり、健診の結果、異常がないとしても行動変容につなげる狙いがある。検診は、主に特定の疾患自体を確認するための検査群であり、検診の結果、異常がなければ次の検診まで経過観察を行うことが多いものである。
※この考え方とは別に、「健診」の用語は、「健康診断」や「健康診査」の略として使われることもあります。国の用語でも、例えば、労働安全衛生法では「定期健康診断」を「定期健診」と略したり、「高齢者の医療の確保に関する法律」では「特定健康診査」を「特定健診」、また母子保健法の「乳幼児健康診査」を「乳幼児健診」と略しています。
特定健診は、このうちの「健診」にあてはまります。特定健診で行う検査から、高血圧や糖尿病のほか、メタボリックシンドローム、脂質異常症、肝機能異常、心電図異常などさまざまな異常が見つかることがあります。これらの多くは症状がないため、健診を受けないと気づくことができず、必要な治療をせずに進行すると脳卒中や心臓病、腎不全などの重大な病気を発症することがあります。一方、健診での検査値の異常が軽度の場合には、必ずしも治療をしなくても、生活習慣や行動を変えることで、検査値が改善することがあります。これを支援するのが「特定保健指導」など、保健師や管理栄養士などの専門家による保健指導です。一方、「検診」は、異常があった場合には、保健指導や行動変容だけで問題が解消することは少なく、必ず精密検査を受ける必要があります。歯周病検診や骨粗鬆症検診などのように、検診と健診の役割が明確には分けづらいものもあります。
健診も検診も、見つかる異常のほとんどは無症状のものです。症状がないから、元気だから健診・検診を受けないのではなく、症状がなく、元気な人こそ健診・検診を受ける必要があります。症状がある場合は、まず医療機関を受診してください。
(最終更新日:2026年5月15日)