たんぱく尿とは、尿中に通常より多くのたんぱく質が含まれる状態を指す。健康な人でも一時的にみられる場合もあるが、慢性腎臓病などの病気が背景にある可能性もある。自覚症状がないまま進行することが多いため、健康診断での早期発見と、必要に応じた再検査や医療機関への受診が重要である。
尿は腎臓で血液がろ過されて作られます。体にとって必要なたんぱく質は血液に再吸収され、不要な老廃物や水分は尿として排泄されます。しかし、そのフィルターとしての機能をもつ腎臓や、尿の通り道(尿路)などに異常があると、たんぱく質が再吸収されずに尿中に漏れ出てしまうことがあります。これを「たんぱく尿」といいます。
一方で、体の機能に問題がなくても、一定量以上のたんぱく質が尿に含まれることがあります。これを「生理的たんぱく尿」といいます。これは、肉などたんぱく質を多く含む食品を過剰に摂取したり、激しい運動や発熱など体に負荷がかかったりすることで、一時的に尿中にたんぱく質が検出されるものです[1]。また、子どもや若年者では、立っている姿勢が続くことでたんぱく尿が出る「起立性たんぱく尿」がみられることもあります[2]。これらに対し、腎臓病や糖尿病、高血圧などが原因でフィルター機能が損なわれて持続的にたんぱく質が尿に漏れ出ることがあります。この場合は、精密検査が必要となります。
一般的にたんぱく尿の検査判定は、陰性(-)、弱陽性(±)、陽性(1+以上)の段階で示されます[3,4]。特定健診では、弱陽性(±)では生活習慣の改善、陽性(1+以上)では、慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)などの病気の可能性があるため医療機関の受診が推奨されています。
慢性腎臓病とは、腎臓の働きが慢性的に低下した状態、またはたんぱく尿などの異常が3か月以上続く状態を指します。慢性腎臓病の主なリスク因子としては、高血圧や糖尿病、加齢、肥満などのほか、喫煙や睡眠不足などの生活習慣や、免疫の働きなどが挙げられます[2]。慢性腎臓病は成人の5人に1人が該当するといわれており[5]、誰にでも起こりうる身近な病気です。
慢性腎臓病は初期にはほとんど自覚症状がなく、気づかないうちに進行するのが特徴です。むくみや倦怠感(だるさ)などの自覚症状が出たときには、すでに病状が進行していることが少なくないため、尿検査でたんぱく尿を早期に発見することが非常に大切です。
たんぱく尿があると、将来的に透析などの腎代替療法が必要になるリスクが高まるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる血管障害を引き起こす危険因子でもあることが明らかになっています[6,7]。そのため、健康診断でたんぱく尿を指摘された場合は、自己判断せず、医療機関を受診することが重要です。
(最終更新日:2026年3月16日)