薬を使って脳梗塞患者の脳血管内の血栓を溶かす治療。
rt-PA(遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクチベータ)が特効薬として使用される。
脳にある血管が詰まって起こる脳梗塞を、血栓を溶かし再び血液が流れるようにする薬を静脈注射(点滴)で治療する方法を、経静脈的血栓溶解療法といいます。
日本では2005年から健康保険の適用が認められ、現在では標準治療として定着しています。rt-PAは血栓を溶かす力が非常に強く、脳梗塞の特効薬として使用されます。脳梗塞発症から4時間半以内に静脈注射(点滴)で投与すれば、後遺症が残る確率を軽減できます[1]。
ただし、効果的に使用するにはいくつかの条件があります。まず脳梗塞を発症したらなるべく早く治療を開始することです。脳梗塞は、発症して血栓が詰まり血液が流れなくなった部分から脳虚血となり、脳細胞は死んでいきます。治療するのが遅れて脳や血管が傷んだ後に再度血液が流れ出すと、新たに脳出血を引き起こす危険があります。またrt-PAは全身に作用するので、ほかに出血しそうな部位があれば、そこから出血する可能性もあるので注意が必要となります。
実際の治療では、カテーテルを用いた経動脈的血行再建療法と併用して行われることがあります。
【日本脳卒中学会監修】
(最終更新日:2025年1月7日)