(てつ)

人体の構成に必須のミネラルの一種で、主に赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンの構成要素として存在し、不足すると貧血や運動機能低下などを引き起こす。

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人体の構成に必須なミネラルの一種です。成人の体内には約3~4gの鉄が存在しています。そのうち約70%は、赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンの構成要素として存在します。残りの30%は、肝臓や骨髄などに貯蔵鉄として存在しています。全身の鉄は、身体から排出されることはなく、効率的に保存され、再利用されます。月経や成長に伴って、失われた鉄は腸管からの吸収で補われ、恒常性が保たれています。また、腸管からの鉄の吸収は、鉄の損失や必要性や食品中の鉄の状態(ヘム鉄と非ヘム鉄)によっても変化します。体内の鉄が不足し、貧血になると、体内の血液の循環が滞り、筋肉への酸素の供給量が減り、筋力低下や疲労感といった症状も起こります。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」[1]では、成人1人1日当たりの推奨量を、男性で6.5mgから7.5mg、月経のない女性で5.5mgから6.0mg、月経のある女性で10.0mgから10.5mgの間にそれぞれ年齢階級別に設定しています。

通常の食事を行っていれば鉄を摂りすぎることはほとんどありません。

鉄はレバー、赤身の肉・魚、小松菜やほうれん草などに多く含まれます。鉄には、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収がよく、ヘム鉄を利用することで非ヘム鉄の吸収もよくなります。また動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなります。

(最終更新日:2025年12月1日)

勝間田 真一 かつまた しんいち

東京農業大学応用生物科学部栄養科学科教授

博士(農芸化学)、管理栄養士。
東京農業大学栄養学科助手、助教、准教授などを経て、2024年より現職。
骨代謝に及ぼすミネラル摂取量の影響の検討や生活習慣病予防に関する栄養生理学的研究を行っている。

参考文献

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2025年版)『日本人の食事摂取基準』策定検討会報告書」
    https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf