アンジオテンシノーゲン(あんじおてんしのーげん)

血液中のアンジオテンシンを増加させて血圧を上昇させる物質。

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アンジオテンシノーゲンは肝臓や脂肪細胞でつくられます。アンジオテンシノーゲンは、腎臓から分泌されるタンパク質分解酵素であるレニンの作用でアンジオテンシンⅠというホルモンにつくり替えられ、血液にのって肺を循環している時にアンジオテンシン変換酵素の作用でアンジオテンシンⅡというホルモンに変わります。

アンジオテンシンⅡは強力な末梢血管収縮作用をもつほか、副腎皮質でつくられるアルドステロンの分泌を促します。アルドステロンは血中のカリウムを排泄させてナトリウムの再吸収を促進し、血液の水分量を増やすため、血圧の上昇を引き起こします。

腎臓はこうした血中のカリウム・ナトリウム・水分量の変化に応じてレニンの分泌を調節して血圧をコントロールしていますが、アンジオテンシノーゲンの分泌が増えると、この一連の血圧調節機構(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系=R-A-A系)が活発になり、血圧を上昇させます。

降圧薬の一種である、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は、R-A-A系の阻害を介して血圧を下げるタイプの降圧薬です。

(最終更新日:2024年5月27日)

木村 仁美 きむら ひとみ

筑波大学大学院人間総合科学学術院 社会健康医学

筑波大学医学群医学類卒業。日本医師会認定産業医, 健康スポーツ医。社会医学系専門医。日本移植学会移植認定医。

参考文献

  1. 矢﨑義雄、小室一成.内科学第12版.朝倉書店.2022
  2. 日本高血圧学会.高血圧治療ガイドライン2019.2019