果物は、ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含みます。果物を十分に摂取することで、生活習慣病(非感染性疾患:NCDs)の予防にも効果があることがわかっています。健康日本21(第三次)では、1日200gの果物を摂取することを目標としています。普段の食生活の中に上手く果物を取り入れ、1日200gを習慣化しましょう。
果物には、ビタミンCやカリウム、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれており、健康の保持・増進にさまざまな効果をもたらします。例えば、みかんやキウイフルーツにはビタミンCが多く含まれ、抗酸化作用を持ち、免疫機能の強化に役立つといわれています[1]。
バナナや柿にはカリウムが豊富で、体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧の予防に効果が期待できます[2]。
果物に含まれる食物繊維には、整腸作用により便秘を予防するほか[3]、血糖値の急激な上昇を抑える働きもあるといわれています[4]。また、体内の余分なコレステロールの吸収を抑えたり、胆汁酸と結びついて排出を促したりする働きがあるといわれています[5]。
果物の摂取は、生活習慣病の予防に役立つことが科学的に示されています。国内外の研究では、果物の摂取が多い人ほど、循環器疾患の発症や死亡リスクが低下することが報告されています[6]-[8]。これまでのたくさんの研究結果を統合して解析した結果によると、1日200gまでの果物の摂取は、脳卒中や冠動脈疾患による死亡リスクが低下することが明らかになっています[9]。また、1日200g程度の果物の摂取によって、高血圧[10]や肥満[11]、2型糖尿病[12]のリスクが低減することも報告されています。
さらに、果物の摂取量が多い人は、総死亡リスクが低下することもわかっています[13]。日本人の果物摂取量を1日50g増やすことで、循環器疾患による疾病負荷が軽減することが明らかになっています[14]。世界的に見ても、果物の摂取不足は、食塩の過剰摂取や全粒穀類の摂取不足に次いで、死亡リスクを高める主要な食事関連のリスク因子の一つとされています[15]。そのため、果物を十分に摂取することは、健康の保持・増進だけでなく、健康寿命の延伸にもつながると期待されています。
健康日本21(第三次)では、生活習慣病の予防や健康保持・増進を目的に、これまでの研究結果をふまえ「果物摂取量の改善」を目標の一つとして掲げ、その目標値を1日あたり200gとしています[16]。
厚生労働省が実施した2023年の国民健康・栄養調査によると、日本人の20歳以上の1日あたりの果物摂取量の平均は約93gと報告されており、目標には届いていません[17]。また、果物の摂取量が100g未満の人の割合は63.4%、200g未満の人の割合は83.8%に上ることが示されています[17]。さらに、1日に全く果物を摂っていない人の割合は、40.1%にもなります[17]。日本では果物の摂取量が少なく、1日200gの目標に届いている人はごくわずかです。果物を毎日の食事に取り入れることから始め、1日200gを目指して摂取するようにしましょう。
果物200gは、中くらいのりんごなら1個、バナナなら2本、みかんなら2個程度に相当します。果物はジュースや加工食品よりも、生のまま食べるのが理想的です。ジュースにすると食物繊維が減少し、加糖されている場合は糖質の過剰摂取につながる可能性があります。また、缶詰の果物はシロップ漬けのものが多く、糖質が多く含まれるため注意が必要です。できるだけ生の果物をそのまま取り入れるようにしましょう。特に糖尿病の方は、糖質を多く含むシロップ漬けの果物やドライフルーツの摂取は少量にとどめましょう[18]。
果物には、ビタミンCやカリウム、食物繊維が豊富に含まれており、十分に摂取することで、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸に繋がります。果物を1日200g摂る習慣をつけて、健康的な生活を送りましょう。
(最終更新日:2025年5月1日)