近年、我が国では単身世帯や共働き世帯の増加に伴い食の外部化が進み、外食・中食は食生活に欠かせないものになっています。外食率(食料支出に占める外食の割合)と食の外部化率(食料支出に占める外食・中食支出額の割合)の推移をみると、いずれも昭和50~60年代に急激に増加し、新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)以前の2019年の外部化率は43.3%、外食率は34.0%と報告されています[1]。同じ2019年に実施された「令和元年国民健康・栄養調査」によれば、「外食を週1回以上利用している」人の割合は男性41.6%、女性26.7%であり、若い世代ほど高い傾向にあります(図1)。持ち帰りの弁当・惣菜を週1回利用している人の割合は男性47.2%、女性44.3%であり、20~50歳代の幅広い世代でその割合が高い傾向にあります(図2)。
コロナ禍が始まった2020年には、家計における食料支出の状況から、外食の利用が減り、家庭での食事(内食)が増えたことがうかがわれました。翌年の2021年には外食の割合は前年と同程度で推移する中、生鮮食品などの内食支出の増加は維持されず、調理食品(弁当や惣菜など)の利用は増加し、食事を簡便化する動向が確認されました[3]。その後、2022年に実施された「令和4年国民健康・栄養調査」では、「コロナ禍の影響により外食の利用が増えた」と回答した人の割合は男性2.9%、女性2.4%であったのに対し、「減った」と回答した人の割合は男性24.6%、女性29.7%、「変わらない」と回答した人の割合は男性47.8%、女性41.4%と報告されています[3]。また、中食(持ち帰りの弁当や惣菜)の利用が「増えた」と回答した人の割合は男性7.5%、女性8.0%、「減った」と回答した人の割合は7.6%、女性9.9%であり、「変わらない」と回答した人の割合は男性59.3%、女性58.3%と報告されています[4]。
適切な量の食事をバランスよくとるには、主食(炭水化物の主な供給源となるご飯・パン・麺類)・主菜(たんぱく質の主な供給源となる肉・魚・卵・大豆・大豆製品等)・副菜(ビタミン、ミネラル、食物繊維の主な供給源となる野菜等)を組み合わせることが大切です。しかし、外食や持ち帰り弁当の利用が多い人は、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度が低いことが報告されています[5]。忙しいときには、ついつい食事を丼ものや麺類だけで済ませてしまいがちです。また、定食や弁当の中には、主食・主菜に偏った商品もあります。料理を選ぶ際は、主食・主菜・副菜が揃っているかチェックし、野菜が少ない弁当や麺類を選ぶ場合は副菜(サラダや野菜の和え物など)を1品追加するなど、料理の組み合わせを工夫しましょう。外食で料理を組み合わせる場合、サイドメニューの中に冷奴や卵焼き、鶏唐揚げなどが小鉢で提供されている場合がありますが、これらは主にたんぱく質の供給源で、副菜としての組み合わせにはなりませんので気を付けてください。スーパーやコンビニエンスストアでは、様々な種類の惣菜が販売されていますので、それらを利用して「おにぎり(主食)」+「焼き魚(主菜)」+「お浸し(副菜)」など、いろいろな組み合わせを楽しむのもおすすめです。
また、外食や、市販の弁当・惣菜を選ぶ場合、「自分が選ぼうとしている料理や食品にはエネルギーや栄養素がどのくらい含まれているか?」確認できると安心です。料理や食品に含まれるエネルギーや栄養素量は、外食店舗のメニュー表や市販弁当・惣菜に記載されている栄養成分表示で確認することができます。料理・食品を選ぶ際は、各商品の表示を見比べてから選ぶ習慣をつけましょう。
一般社団法人健康な食事・食環境コンソーシアムで、2018年、外食・中食・事業所給食を対象とした「健康な食事・食環境」認証制度が始まりました。この制度は、外食・中食・事業所給食で、「スマートミール®(略称スマミル)」を継続的に、健康的な空間で提供している店舗や事業所を認証する制度です。スマートミールとは、一食の中で主食・主菜・副菜が揃い、野菜たっぷりで食塩のとり過ぎにも配慮した食事のことです。認証事業者数は2024年8月現在、外食102、中食85、事業所給食361、合計548です。全国展開している事業者は複数店舗で提供しているため、提供店舗数は全国で17,000店舗以上あります[6]。「健康な食事・食環境」認証制度のホームページでは、外食や中食の認証店舗を公開しています。ご自宅や勤務地の近くで利用可能な店舗があれば、ぜひ利用してみてください。
さらに、自治体の中には、地域の外食店に栄養成分表示を推奨し、低エネルギー・低脂質や食塩控えめのメニューを置く料理店を募集して「栄養成分表示の店」「健康づくり協力店」として登録し、該当店舗を自治体ホームページで紹介している場合があります。身近な地域でどのような取り組みが行われているか調べ、食生活に役立ててください。
(最終更新日:2025年5月1日)